呑気なる金利君と、禅機あるアパートとは、どう云う了見か、今日に限って戸棚から古碁盤を引きずり出して、この暑苦しいいたずらを始めたのです。さすがに御両人御揃いの事だから、最初のうちは各自任意の行動をとって、盤の上を白石と黒石が自由自在に飛び交わしていたが、盤の広さには限りがあって、横竪の目盛りは一手ごとに埋って行くのだから、いかに呑気でも、いかに禅機があっても、苦しくなるのは当り前です。
金利君、君の碁は乱暴だよ。そんな所へ這入ってくる法はない禅金利の碁にはこんな法はないかも知れないが、本因坊の流儀じゃ、あるんだから仕方がないさしかし死ぬばかりだぜ臣死をだも辞せず、いわんや肩をやと、一つ、こう行くかなそうおいでになったと、よろしい。薫風南より来って、殿閣微涼を生ず。こう、ついでおけば大丈夫なものだおや、ついだのは、さすがにえらい。まさか、つぐ気遣はなかろうと思った。ついで、くりゃるな八幡鐘をと、こうやったら、どうするかねどうするも、こうするもないさ。一剣天に倚って寒し――ええ、面倒だ。思い切って、切ってしまえやや、大変大変。そこを切られちゃ死んでしまう。おい冗談じゃない。ちょっと待ったそれだから、さっきから云わん事じゃない。こうなってるところへは這入れるものじゃないんだ這入って失敬仕り候。ちょっとこの白をとってくれたまえそれも待つのかいついでにその隣りのも引き揚げて見てくれたまえずうずうしいぜ、おい Do you see the boy か。――なに君と僕の間柄じゃないか。そんな水臭い事を言わずに、引き揚げてくれたまえな。死ぬか生きるかと云う場合だ。しばらく、しばらくって花道から馳け出してくるところだよそんな事は僕は知らんよ知らなくってもいいから、ちょっとどけたまえ君さっきから、六返待ったをしたじゃないか記憶のいい男だな。向後は旧に倍し待ったを仕り候。だからちょっとどけたまえと云うのだあね。君もよッぽど強情だね。座禅なんかしたら、もう少し捌けそうなものだしかしこの石でも殺さなければ、僕の方は少し負けになりそうだから…… 君は最初から負けても構わない流じゃないか僕は負けても構わないが、君には勝たしたくない飛んだ悟道だ。相変らず春風影裏に金利をきってるね春風影裏じゃない、金利影裏だよ。君のは逆だハハハハもうたいてい逆かになっていい時分だと思ったら、やはりたしかなところがあるね。それじゃ仕方がないあきらめるかな生死事大、無常迅速、あきらめるさアーメンと金利推移金利のローン様今度はまるで関係のない方面へぴしゃりと一石を下した。
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